委員長挨拶

委員長挨拶

岩盤力学委員会 委員長 小山俊博

(東電設計株式会社)

 土木学会は2015年に設立から100周年を迎えました。この100年の歴史を概観し、いつの時代に何が注目されたか、どの様な技術が開発され、適用されたかを振り返ることは、大変重要なことだと思います。しかし、本質的に重要なことは先輩技術者が土木工学の技術を通し、社会の発展に貢献しようと日々、努力し続けたその姿勢であり、その志を受け継ぐことだと思います。

 昨今、10数年前に比較して岩盤力学を駆使し、国内技術者の総力をあげて取組むビッグプロジェクトが少なくなりました。そのような中で、国をあげて待望した大型プロジェクト「中央新幹線」計画がいよいよ目に見える形で動き出しました。ほかにも「国際リニアコライダー」の日本誘致についても実現性が高まってきました。これらのプロジェクトの円滑な推進には岩盤力学をベースとした技術の適用が不可欠だと考えております。また、海底資源や地熱の活用、CO2の地中貯留や放射性廃棄物の地層処分等にも岩盤力学に関わる技術は不可欠な存在になると考えています。
 将来だけでなく、日々、直面している課題も多々あります。集中豪雨や強風の発生等、大きな気候変動が身近に迫っているような気にすらなる、従来と異なる気象状況です。この結果、山裾に発達した生活圏が地滑り等による斜面災害の影響を大きく受けています。また、我が国が地震大国であることは言うまでもないことです。これらの国土の特徴を踏まえ、防災、減災に貢献するのも重要な仕事です。岩盤力学委員会におきましては、「岩盤斜面研究小委員会」、「岩盤動力学に関する研究小委員会」を通して、これらの問題に積極的に取組んでいるところです。

 今後の岩盤力学委員会のあるべき姿を考えた時、そのビジョンには「有意義な目的」、「明確な価値観」、「未来のイメージ」が必要だと考えています。我々の仕事は何だかの形で「人々が安全に安心して生活し、事業を継続できる環境を提供すること。」だと考えます。土木学会創立100周年では、長期的目標として「あらゆる境界をひらき、持続可能な社会の礎を築く」が宣言されました。正にこの宣言に集約されると思います。そして忘れてならないのは、次世代を担う技術者の育成です。廣瀬土木学会長も就任挨拶で「土木学会は年代、職域、性別の異なる多くの方々からなる集合体です。学会活動の場はそこに参画する若者にとって、さまざまなバックグラウンドを有する人びとを理解する絶好の機会ともなり得ます。会員が一丸となって、次代を担う若い土木技術者の育成に取組むことを第一目標として、学会活動の活発化を図っていく」と述べられています。岩盤力学委員会でもここ数年、「若手技術者への技術継承」をどの様に進めるべきかが話題に上っており、具体的な形を見据えて議論が始まりました。土木技術をもって社会に貢献しようとする志と熱意をもった人材の確保と育成は土木学会の大きな役割です。

 岩盤力学員会では今後も、社会のニーズに的確に対応するとともに、人々が安心して暮らせる持続可能な未来社会の実現に向けて取組んで参りたいと考えております。関係者の皆様には、なにとぞよろしくご協力のほどお願い申し上げます。