第41回岩盤力学に関するシンポジウム

☆第41回シンポジウムは終了しました.下記の開催報告をご覧ください.

☆第42回シンポジウムは2014年1月に開催予定です.

☆2013年1月には,岩の力学連合会主催の第13回岩の力学国内シンポジウムが開催されます.

第41回岩盤力学に関するシンポジウム開催報告

岩盤力学委員会では,岩盤工学および岩盤力学に関する最新の調査研究,技術の成果発表の場を広く提供するため,「岩盤力学に関するシンポジウム」を開催しております.2011年度は下記のとおり開催され,各界の技術者,研究者,学生など,多数の参加をいただきました.

file※[参加者アンケート集計結果(PDF)]

■セッション
12セッション (口頭発表)
  (1) トンネル・地下空洞1 
  (2) トンネル・地下空洞2 
  (3) 室内・模型試験 
  (4) 現場計測・最新の計測技術
  (5) 強度・変形1    
  (6) 強度・変形2    
  (7) グラウト      
  (8) 放射性廃棄物処分1 
  (9) 放射性廃棄物処分2 
  (10) 斜面および斜面災害 
  (11) 数値解析 
  (12) 岩の性質・評価

■パネルディスカッション
(1)「国際リニアコライダ(ILC)施設の土木技術に関するガイドラインの策定」
 担当:国際リニアコライダの土木技術に関する示方書策定小委員会

(2)「CCSにおける物理探査,モニタリング技術の現状と課題」
 担当:「CCS実現のための岩盤の調査モニタリング技術および関連技術の現状と課題に関する調査研究」ワーキング

(3)「大深度地下空洞の耐震性について―求められていること、学ばなければならないこと-」
 担当:大深度地下構造物の耐震性評価に関する研究小委員会

■特別講演会
「DECOVALEX: An International Collaborative Research Project on Radioactive Waste Disposal」
 講演者:Lanru Jing (Royal Institute of Technology)
 主催:岩の力学連合会

■懇親会
 (1)主 催: 土木学会(担当:岩盤力学委員会)
 (2)参加者数: 39名

■表 彰
優秀講演論文賞(3件)

(1)講演番号24 「2011年東北地方太平洋沖地震における大型構造物基礎の地震時挙動の評価」
   岩田 直樹(中電技術コンサルタント),吉中 龍之進,佐々木 猛

【講演要旨】
岩盤上に建設する大型構造物の地震時挙動は,岩盤内の不連続面分布やその力学的性質に影響を受けることから,これまで著者らは岩盤不連続面の変形特性を考慮できる複合降伏モデルを提案し,これに2005年宮城県沖の地震の観測記録を適用し,モデル化と解析手法の妥当性について検討を行ってきた.本研究では,同様の手法とモデルを用いて,地震動が大きく,継続時間の長い2011年東北地方太平洋沖地震の観測記録に対して地震応答解析を行い,その結果を観測値と比較することにより大きな地震動に対する適用性を評価した.この結果,振幅の大きな地震動に対しても不連続面の物性値や分布を適切にモデル化することで,弾性解析では再現できない応答スペクトルの分布を精度よく算定できることがわかった.

(2)講演番号43 「岩盤斜面崩壊事例のモデル化による崩壊分離面の分析」
   日外 勝仁(土木研究所),伊東 佳彦,佐々木 靖人

【講演要旨】
 詳細な調査資料がある既往岩盤斜面崩壊事例について,崩壊の運動形態だけではなく崩壊要因も考慮した崩壊形態のモデル化を行い,3次元模式図として整理した.モデル化にあたっては,崩壊岩体を斜面と区切る崩壊分離面に着目し,崩壊前に確認できたと推察される確認分離面と崩壊前には把握できなかった未確認分離面とを区別するとともに,崩壊の最終段階で発生した最終分離面を抽出した.また,分離面の配置から背面,側面,上面,底面に分類し,分離面の組合せと崩壊形態との関係を整理した.その結果に基づき,崩壊前の確認分離面の組合せから発生する崩壊形態の推定を試みた.特に,崩壊発生予測の重要な要素となる最終分離面については,その性状に着目し,崩壊形態との関係を整理した.

(3)講演番号49 「地盤リスクという観点からみた地質調査の意義に関する研究」
   大津 宏康(京都大学),大川 淳之介,竹内 竜史,三枝 博光,太田 康貴

【講演要旨】
 本研究は,地下構造物建設プロジェクトにおける岩盤の不連続面の存在等の不確実性に起因する建設・対策工のコスト変動リスク(以下,地盤リスク)に着目し,反射法弾性波探査などの地質構造を面情報として捉える地質調査,あるいはボーリング孔の観察などの点情報として捉える地質調査のそれぞれが,地盤リスク変動に及ぼす影響を事後評価の観点から定量的に評価した.具体的には,不連続性岩盤における立坑掘削工事事例をもとに,地盤リスクとして地下建設プロジェクトにおける突発湧水リスクをコスト次元で示すことで定量的にリスク評価を行った.その結果,地質調査を実施することにより一時的に地盤リスクは増加するが,更なる地盤情報の蓄積により地盤リスクを低減することが可能となることが示された.

優秀ポスター賞(1件)

(1)講演番号19 「トンネル軸を横断する測線を用いた弾性波振幅解析による切羽前方探査法について」
今井 博(大成建設),山上 順民,青木 智幸,三谷 一貴,高橋 亨,相澤 隆生

【講演要旨】
 トンネル切羽前方探査の技術として,坑壁に発振孔・受振孔を配置する弾性波切羽前方探査がある.しかし,この配置では,原理的にトンネル軸に平行な反射面の特定には効果的であるが,トンネル軸に垂直に交差する切羽前方の反射面に対しては,推定する速度分布などに誤差を含みやすい.そこで,切羽前方の反射面位置を精度良く捉え,また,反射面での物性変化を捉える目的で,トンネル軸に直交する発振孔・受振孔を配置した方法で実験を行った.切羽が調査領域を通過後,屈折法を実施し,本探査法で得られた反射面でのS波の反射係数やポアソン比の変化率は,屈折法の結果と整合性があり,本探査法の有効性が確認できた.