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 土木学会 岩盤力学委員会 ニュースレター [No.7 2005.4.1]        印刷用pdf
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[巻頭言]

岩盤工学から岩盤科学へ

 

 新たに2005年を迎え,年度も改まろうとしている。昨年は,新潟や福井の豪雨,度重なる台風,中越地震などにより多くの災害が発生した。これらの災害では数多くの斜面が崩壊し,さらには新潟中越地震では鉄道や道路のトンネルも被災するというように,我々岩盤工学に携わるものにとっても非常にショッキングかつ忘れがたい年となってしまった。年末にはスマトラ島沖の地震によりインド洋沿岸諸国では津波による大きな災害を被った。東京では珍しく雪景色となり,1年ぶりの雪の大晦日といったまさに激動の年を象徴したような天候で2004年は締めくくられた。そして,2005年には福岡西方沖地震により,我々は再び人間のおよばない自然の力を見せつけられたのである。

 さて,日本経済が低迷し,それに引きずられるように岩盤工学の活気が衰退したといわれて,すでに10年以上が経過している。しかしながら,厳しい社会情勢にもかかわらず,岩盤工学に担うべき建設工事はまだまだ多数発注され,さらには既設の岩盤構造物を維持していくという岩盤工学の大切な役割もある。現在,岩盤工学が衰退傾向にあると感じられるのは,多くの学問分野と同様に力学現象を中心としてきた岩盤工学が成熟し,新たなパラダイム構築が容易でないことが一因ではないだろうか。さらには,現場での現象が岩盤力学では説明しきれず,現場の判断に反映されないことが,岩盤工学に携わる技術者の焦燥感を深めていると感じられる。実際,維持管理の現場では岩盤構造物は最もわからないものとして扱われていることが多いが,現場技術者には岩盤を理解するための技術に対する需要は高いと感じる。他方,応用地質学の分野では,岩盤斜面の崩壊現象には地下水や粘土鉱物の変化などの影響が議論されている。さらには,地層処分技術に関連して地下水水質や微生物の岩盤への影響が検討されている。故に,現在の岩盤問題を解決するためには,力学だけでなく,地質学,鉱物学,地下水学さらには生物学など幅広い学問分野を総合的に推進しなければならない。また,今後の岩盤の利活用には利用者の視点に立ったデザインに関する建築学的あるいは心理学的視点が必要であり,これらの維持管理に対してはリスクマネジメントなどの社会科学的評価も必要であろう。このようなことを鑑みると,我々は今,岩盤力学中心の岩盤工学から学際的な岩盤科学へ展開する時期にあるのではないだろうか。

 

企画小委員会委員 太田岳洋(鉄道総合技術研究所)


1.トピックス 

 今回のトピックスは下記の2件を紹介します。以下はその概要です。

本文をpdfファイルでご覧ください。

1)「ボスポラス海峡横断鉄道建設工事(トルコ)」 Click!

吉田 明(大成建設株式会社 国際支店)
青木智幸(大成建設株式会社 技術センター)

            
(概要)
 ボスポラス海峡横断鉄道建設工事は,イスタンブール市内の交通量緩和のための大量輸送手段としてトルコ政府が事業化を決定したプロジェクトです。ボスポラス海峡を挟んで東西にアジア側とヨーロッパ側に分かれている市の中心部を結ぶ鉄道(13.6km)を建設します。工事の主要部分は延長約9.4kmのシールドトンネルおよび世界最深(最大深度−60m)となる約1.4kmの沈埋トンネルで,4駅舎を含む土木・建築・設備工事の設計施工を行います。本報では,本建設プロジェクトの概要をご紹介いたします。
これ以降,詳細は pdfファイルでご覧ください
 

2)「韓国の岩盤力学の現状」  Click!

韓国忠北大学校地球環境科学科 徐 庸碩

            
(概要)
 韓国は近年,道路,鉄道,高速電鉄,地下鉄などの社会基盤施設の建設が活発に行われている。このため,岩盤を対象にする大規模工事が急激に増えている。特に,高速電鉄の建設のため長大トンネルが多く施工されていることが,注目される。一方,石油類の地下貯蔵施設や廃棄物処分のための地下空洞の施工に対する社会的要求も増加している。このように,韓国では岩盤力学の果たすべき役割が極めて重要になっている。
 韓国における岩盤力学は,1980年代以前には鉱山分野を中心に岩石物性,採掘安定性評価などの研究が行われていたが,1990年代に入ってから道路,鉄道などの建設が活発になり,地盤調査,トンネル掘削,斜面安定関連の研究が中心テーマになっている。また,上述のように,最近は高速電鉄の建設,地下石油備蓄施設および地下ダム建設に関する研究も増加している。
 本報告では最近3年間の韓国の岩盤力学分野に発表された研究論文の動向を分析するとともに,岩盤力学の研究で中心的役割を果たしている研究所について簡単に紹介する。
これ以降,詳細はpdfファイルでご覧ください
 

2.書籍等の紹介


 今回の書籍等の紹介は下記の2件を紹介します。
 

1)物理探査関係の書籍紹介

真田佳典(京都大学大学院工学研究科 社会基盤工学専攻)


 近年発行された岩盤工学に関係する物理探査関係の書籍を紹介します。  (HPに具体的な一覧表を示しますのでご覧ください)。

 

2)浸透流の文献紹介

企画小委員会委員長 市川康明(名古屋大学)


 浸透流の文献は極めて広範囲に亘っています。今回は,以下のような浸透流とその周辺の話題について,成書を中心に私見を述べます。詳細は こちらをご覧ください。

 a. 浸透流問題の教科書
 b. 岩盤浸透流問題の解説
 c. 浸透流問題の観測と評価の手法
 d. 浸透問題の数値解析
 e. 浸透圧密・熱・拡散などの連成問題
 f. 地下水汚染問題
 

3.会議予定

 

国内の会議
 1)会議名: 第40回地盤工学研究発表会
  日 時:  2005年7月5日(火)〜8日(金)
  場 所:  函館国際ホテル,函館ハーバービューホテル,函館市役所
  リンク:http://www.jiban.or.jp/

 2)会議名: 平成17年度土木学会全国大会
  日 時: 2005年9月7日(水)〜9日(金)
  場 所: 早稲田大学西早稲田キャンパス
  リンク:http://www.jsce.or.jp/committee/zenkoku/h17/taiko_frame.html

 3)会議名: 第16回国際地盤工学会議
  日 時: 2005年9月12日(月)〜16日(金)
  場 所: 大阪国際会議場
  リンク:http://www.icsmge2005.org/index.html

 4)会議名: The 2nd Japan- Korea Joint Workshop on Radioactive Waste Disposal 2005: Interaction between NBS and EBS
  日 時: 2005年10月6,7日
  場 所: 東京工業大学

 5)会議名: 第7回SEGJ国際シンポジウム
  日 時: 2005年11月24日(木)〜26日(土)
  場 所: 東北大学
  リンク:http://www.segj.org/is7/

海外の会議
 1)会議名:ITA-AITES 2005 WORLD TUNNEL CONGRESS & 31st ITA GENERAL ASSEMBLY
  日 時:7-12 May 2005
  場 所:Istanbul (Turkey)
  リンク:http://www.ita2005.org/ITA.html

 2)会議名:EUROCK 2005
  日 時:18-20 May 2005
  場 所:Brno (Czech Republic)
  リンク:http://www.ugn.cas.cz/data/eurock05/conference.htm

 3)会議名:11th International Conference of IACMAG, the International Association of Computer Methods and Advances in Geomechanics
  日 時:19-24 June 2005
  場 所:Torino, Italy
  リンク:http://www.iacmag2005.it/homepage.htm

 4)会議名:Alaska Rocks 2005, The 40th U.S. Rock Mechanics Symposium
  日 時:25-29 June 2005
  場 所:Anchorage, Alaska
  リンク:http://www.alaskarocks.org/

 5)会議名:20th World Mining Congress(第20回世界鉱業会議)
  日 時:7-11 Nov. 2005
  場 所:Teheran(Iran)
  リンク:http://www.20wmce2005.com

 6)会議名:FRAGBLAST-8
  日 時:19-24 June 2005
  場 所:Torino, Italy
  リンク:ttp://www.iacmag2005.it/homepage.htm
 

 その他の会議については,岩盤力学委員会ホームページの「会議予定」をご覧下 さい。

4.法人会員のページ 

 土木学会法人会員による「岩盤工学等の分野で得意とする技術情報等の紹介」を目的とした「法人会員のページ」です。今回は大成建設株式会社からの紹介です。

 

青木智幸(大成建設株式会社 技術センター)

 大成建設では,トンネル工事における切羽補強工法の開発を行っています。軟弱な地山で切羽が押出してくるようなトンネル工事においては,安定対策として長尺の鏡止めボルトを切羽に施工して押出し・崩壊を止める工法の採用が増えています。従来,長尺鏡止めボルト工法は,トンネル軸方向の補強であることから,二次元解析ではその補強効果を表現できませんでした。そこで,施工手順を忠実に再現した三次元逐次掘削解析により,補強効果を評価することが可能となりました。また,ボルトと地山との付着に関する物性を原位置引抜き試験を実施して評価する方法を開発し,ボルトの補強モデルの物性値を定量的に評価することが可能になりました。さらに,トンネル切羽に設置した鏡止めボルトの軸力発生挙動を実際にいくつかの現場で計測し,三次元解析によって再現することにより,定量的な補強効果の評価ができました。
 鏡止めボルトの種類や定着材による補強効果の違いについて検討した結果を,先日の3rd ARMSで発表いたしました1)。3rd ARMSにて展示したポスターをHPで紹介しますのでこちらをご覧ください 。
1) Otsuka et al.:Three-dimensional excavation analyses on the effects of rock reinforcement by means of long facebolting. Proceedings of the ISRM International Symposium 3rd ARMS, Ohnishi & Aoki (eds), pp.705-710, 2004.
 

5.その他

 

・本ニュースレターに対するご感想・ご意見を募集いたします。今後の編集に役立てていきたいと思いますので,下記のニュースレター編集担当までご連絡をお待ちしています。
 

・ また,トピックスの一般投稿及び研究紹介,岩盤力学に係わる読者からのニュース,読者の声,学位論文の紹介などを募集いたしますので奮ってお寄せください。
 

・現在,企画小委員会では各研究小委員会等の協力を得ながら岩盤力学委員会ホームページ(HP)の充実を図り積極的な各種情報発信に努めています。HP更新に伴い,各委員会の活動状況,終了した研究小委員会の報告書や国内外の会議予定等も掲載しましたのでご覧ください。

 リンク:http://www.jsce.or.jp/committee/rm/iinkai_index.html


・ニュースレターのバックナンバーは岩盤力学委員会ホームページをご覧下さい。

 リンク:http://www.jsce.or.jp/committee/rm/news.html

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ニュースレター編集担当: 高橋 美昭(岩盤力学委員会企画小委員会幹事)
gijutsubu@numo.or.jp
アドレス変更・配信中止のお申込みについても上記までお願いします。
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【編集後記】
 本ニュースレター(第7号)発信に当たり編集,執筆にご尽力くださいました方々に心から感謝申し上げます。
 また,市川康明委員長の下で進めてきた岩盤力学委員会企画小委員会も2年間の活動をほぼ終了し,去る3月28日,最後の委員会を開催いたしました。この2年間,岩盤力学委員会の活性化の一環として進めてまいりましたインターネットホームページは2003年12月以来アクセス数が9100を超える程に普及し、皆様に活用して頂いております。また、ニュースレターは,Rock Net Mailのご協力も得ながら第7号までを配信するに至りました。これらの活動によって岩盤力学に関する技術の伝承や岩盤力学に関心を持つ方々の情報交換が少しでも密になり,この分野の活性化に僅かでもお役に立てたとすれば大変な喜びです。
 私が現在取り組んでおります高レベル放射性廃棄物の地層処分は,地下数百メートルに数百キロメートルの坑道を掘削するという事業で,これまでに経験したことのない長期の安定性を求められる地下環境を準備しなければなりません。したがいまして,岩盤工学の益々の発展を期待するものです。
 最後に,今期の企画小委員会のニュースレター編集担当として,再度,全7号の編集,執筆にご尽力くださいました皆様方に心から感謝申し上げます。(高橋)。

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