1.トピックス
今回は最新の学会参加報告を含め,岩盤に関するトピックスとして下記の3件を紹介いたします.
本文をpdfファイルでご覧ください.
1)幌延深地層研究計画における地価施設建設の概要 Click!
森岡宏之・松井裕哉((独)日本原子力研究開発機構)
(概要)
(独)日本原子力研究開発機構は,北海道北部に位置する幌延町において幌延深地層研究計画と呼ぶ地下研究施設の建設を伴う研究プロジェクトを実施しています.これは,「原子力政策大綱(平成17年10月,原子力委員会)」で示された「深地層の研究施設計画」の一つであり,堆積岩を対象とした研究開発を行うものです.
本計画では,調査研究の開始から終了までを約20年間とし,それを「地上からの調査研究段階(第1段階)」,「坑道掘削時の調査研究段階(第2段階)」,「地下施設での調査研究段階(第3段階)」の3段階に区分しています.第1段階は平成13年度に開始し,平成18年度は第2段階の2年目にあたります.第2段階における地下施設の建設の目的は,第1段階で構築した地質環境モデルの検証に必要なデータ取得のための空間の確保,第1段階で実施した施設設計と実際の施工を通じた堆積岩における地下施設の設計・施工・建設技術などの高度化・体系化,堆積岩中の坑道を安全に建設・維持できることの実証です.本稿は,その地下施設建設計画の概要ならびに現況についてご紹介するものです.
(これ以降,詳細は
pdfファイルでご覧ください)
2)第5回東南アジア岩盤工学セミナー(EIT-Japan-AIT
Joint Seminar on Geo-Risk Engineering-Monitoring
and Geo-Exploration)開催報告 Click!
企画小委員会委員長 大津宏康(京都大学)
(概要)
平成18
年9月27日〜28日に,バンコクにおいて岩の力学委員会および京都大学大学院地球系専攻の共催事業である,第5回東南アジア岩盤工学セミナー(EIT-Japan-AIT
Joint Seminar on Geo-Risk Engineering-Monitoring
and Geo-Exploration)を開催しました.
第5回目の今年は,「Monitoring and
Geo-Exploration」をメインテーマとし,総勢65名の参加がありました.特別講演として芦田先生(京都大学大学院)と曽我先生(ケンブリッジ大学)からそれぞれ物理探査および計測に関する最新の技術について紹介があり,その後日本およびタイの研究者,技術者からの発表があり,活発な質疑応答がなされました.
(これ以降,詳細はpdfファイルでご覧ください
セミナー開催報告/Tha Dan Dam見学報告)
3)CO2地中貯蔵の開発動向
Click!
企画小委員会委員 米山一幸(清水建設(株))
(概要)
地球温暖化対策としての温室効果ガスの削減に向けた取り組みが世界各国で進められる中,発電所などから分離・回収したCO2を地下の油ガス田,帯水層などに圧入・貯蔵するCO2地中貯蔵技術(CCS:Carbon
Dioxide Capture and
Storage)が近年特に注目を集めています.気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は,世界各国の研究者の協力の下にCCSに関する特別報告書を2005年にまとめ,その中でCCSを将来の地球温暖化対策の有効なオプションのひとつに位置づけています.国内においても,NEDO,地球環境産業技術研究機構(RITE)が中心となり,新潟県長岡市において2003年から2004年にかけて実証試験が実施され,現在も実現に向けた検討が続けられています.
本報では,現在までに各国で実施されたCO2地中貯蔵プロジェクトの事例と,最近の動向としてIPCC特別報告書の概要,第8回温室効果ガス制御技術国際会議(GHGT-8)の発表内容の動向などを紹介します.
(これ以降,詳細はpdfファイルでご覧ください)
2.書籍等の紹介
企画小委員会委員 中村一樹(応用地質(株))
今年の2月で,1.1万m3の岩盤がトンネルを押しつぶし,偶然通りかかったバスなどに乗っていた20人の方の命を奪った北海道豊浜トンネルの岩盤崩落事故から早くも10年となりました.この10年の節目に,国土交通省では,二度とこのような悲惨な事故がないように,道路防災総点検を行うこととなっているようです.
そこで今回は,岩盤や斜面の災害関連で,どなたにもわかりやすい本をご紹介したいと思います.
「災害地質学入門」千木良雅弘(京都大学教授)著
ISBN4-906431-08-9,206ページ,2,500 円,近未来社
北海道豊浜トンネルの岩盤崩落事故をはじめ,鹿児島県出水市の大水害や長野県小谷村の土石流災害の例を挙げ,岩盤自然災害の発生メカニズムや,発生予測と解析手法について,地質学だけでなく周辺諸科学を駆使して分かりやすく解説されている,実務者向けの教科書的な本です.
さらに深く知りたいと願う人のために,多くの教科書や参考文献が示されているのもとても便利です.
そしてもう一冊ご紹介させていただきたいのが,行政側の人が書いた災害の本です.
「自然災害の危機管理―明日の危機を減災(ミティゲート)せよ!」 佐々淳行編著
ISBN:4324063982,282ページ,\3,990(税込),ぎょうせい
編著者は,知る人ぞ知る元警察官僚で,映画にもなった『連合赤軍「あさま山荘」事件』の著者,そして内閣総理大臣官房内閣安全保障室の初代室長であった,危機管理のプロフェッショナルの佐々淳行氏です.
災害は仕方ない,しかし「自助」「互助」「公助」で,減災は可能だという著者の考えが,豊富な事例をもとに詳しく書かれています.
また,災害に関する現行法制度のあらましや,災害時の危機管理には住民の避難誘導体制の確立が必要であるなど,いわゆるソフト面に関して詳しく書かれており,とても参考になります.
この2冊,防災総点検前に読まれてみてはいかがでしょうか.
3.会議予定
国内の会議
1)会議名:日本応用地質学会 平成18年度研究発表会
日 時:2006年11月9日(木)〜10日(金)
場 所:熊本市
リンク:
2)会議名:The 8th SEGJ International
Symposium
日 時:2006年11月26日(日)〜28日(火)
場 所:京都大学百周年時計台記念館
リンク:
http://www.segj.org/is8/index.html
3)会議名:第36回岩盤力学に関するシンポジウム
日 時:2007年1月11日(木)〜12日(金)
場 所:土木学会
リンク:
http://www.jsce.or.jp/committee/rm/ronbun/simpo/top_001.htm
4)会議名:第12回地下空間シンポジウム
日 時:2007年1月17日(水)
場 所:土木学会 東京都
リンク:
海外の会議
1)会議名:4th ARMS (Asian Rock Mechanics
Symposium), the 2006 ISRM-Sponsored
International Symposium
日 時:8-10 November, 2006
場 所:Singapore
リンク:
http://www.arms2006.org/
2)会議名:International Mining Symposium
日 時:8-10 November, 2006
場 所:Dubrovnik, Croatia
3)会議名:2nd International Conference on
Sustainable Subsurface Development and
Management
日 時:27-29 November, 2006
場 所: Oporto, Portugal
4)会議名:Geosynthetics in Mining Seminar
日 時:6-8 December, 2006
場 所:Perth, Australia
5)会議名:AGU Fall Meeting 2006
日 時:11-15 December, 2006
場 所:アメリカ合衆国・サンフランシスコ
6)会議名:5th International Workshop on
Applications of Computational Mechanics in
Geotechnical Engineering
日 時:1-4 April, 2007
場 所:ポルトガル・Guimaraes
7)会議名:第33回ITA総会および国際コングレス「地下空間;巨大都市の四次元利用」
日 時:5-10, May, 2007
場 所:プラハ・チェコ
8)会議名:1st Canada-US Rock Mechanics Symposium
日 時:27-31 May, 2007
場 所:カナダ・バンクーバー
9)会議名:ISRM 11th International Congress on Rock
Mechanics
日 時:9-13 July, 2007
場 所:ポルトガル・リスボン
その他の会議については,岩盤力学委員会ホームページの「会議予定」をご覧下
さい.
4.法人会員のページ
土木学会法人会員による「岩盤工学等の分野で得意とする技術情報等の紹介」を目的とした「法人会員のページ」です.今回は東電設計株式会社からの紹介です.
<東電設計株式会社>
東電設計では国内外の発電所や送電設備を中心とした社会資本整備に関わる企画,調査,設計,メンテナンスを一貫して行っています.特に環境に配慮し,建設工事の合理化,既存設備の適切な維持管理等に貢献する新技術の開発に取り組んでいます.
その中で,岩盤工学の分野においては硬岩から軟岩にいたるまで幅広い岩盤を対象に,挙動予測並びに安定性評価に長年にわたり取り組んでいます.特に地下発電所空洞の様な大規模空洞を中心とした地下構造物の挙動解析及び安定性評価手法については豊富な実測データの分析結果をもとに,種々の解析モデルの実務への適用性向上に取り組んできました.(@3次元地下空洞掘削挙動・地質構造解析技術,A不連続性岩盤の挙動評価技術)また,地震時の地盤挙動(B3次元FEMによる地震時応答解析及び地盤安定性評価技術)や斜面の安定性評価(C斜面危険度評価と最適補修計画のための意志決定支援システム)に関しても解析だけでなく,最適なソルーションを得られるシステムの開発を行っています.
これらの技術をもとに,最近では電力関連設備ばかりでなく,天然ガス地下貯蔵空洞建設のための地質調査,空洞設計並びに掘削時挙動分析や放射性廃棄物の地下施設を適切にしかも合理的に建設するための調査手法や評価手法の開発を行っています.
詳しくはこちらをご参照ください.
http://www.tepsco.co.jp
【編集後記】
東京も少し秋らしくなってきました.明日は北海道では雪との予報が聞こえています.身体の調子を崩しやすい時期です.お気をつけください.
このニューズレターをお送りすることとなったひとつの理由は,近年冷え込んできている「岩盤分野」を活性化させるという目的でありましたが,最近ひょんなことからインターネットで意外と多く「岩盤」が検索されていて,人気があることがわかりました.
みなさまも実際に検索してみてください.本当に多くの「岩盤」に出会うことができます.
そうです,ヒットカウント数ナンバーワンは・・・「岩盤浴」です.(中村一樹)
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ニューズレター編集担当:中村 一樹(岩盤力学委員会企画小委員会幹事)
nakamura-kazuki@oyonet.oyo.co.jp
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