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土木学会 岩盤力学委員会 ニュースレター [No.8 2005.10.17] 印刷用pdf
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[巻頭言]
「他分野との連携・融合のより新市場の創出」
土木学会岩盤力学委員会企画小委員会委員長
大津宏康
本年度より,私が前任の市川康明委員長(名古屋大学)から企画小委員会を引き継ぐごとになりました.このニューズレターは,市川先生の発案により「岩盤力学に係わる研究者・技術者に,出来るだけ早く多種多様な情報を提供する」ということを目的として開設されたものであり,これまでに年3〜4回発行して参りました.新体制になっても,この主旨を継続していきたいと考えております.また,昨年度より関連組織の岩の力学連合会においても,Rock Net Japanが開設されており,このWebサイトとの連携を密にして,土木学会のみならず「岩盤力学に係わる研究者・技術者に,出来るだけ早く多種多様な情報を提供する」ことに努めたいと考えております.
さて,昨今土木工学を取巻く社会環境は厳しさを増しており,岩盤力学・岩盤工学についてもその状況は同じあるいは,土木系の他分野より厳しいのではないかと考えられます.しかし,他の工学分野に目を移すと,勢いを増しつつある分野も見られます.すなわち,IT・バイオ・ナノテクは,今国家としての重点強化分野として勢いを増しています.この新分野の特徴は,技術開発による知的財産権の確立という面から研究開発が,産官学連携の下に進められていることはご承知と思います.しかし,この新分野が拡大しつつある中で,注目すべきことは,「IT・バイオ・ナノテク」という新分野は,大学で言えば従来の専攻単独単位ではなく,他分野との連携を有効に図りつつあることです.例えば,医工連携すなわち医学領域と工学領域の連携として,「ナノ・メデスン」というような分野も開発されつつあります.
一方,土木工学分野ひいては岩盤工学分野は,こうした動きに比較して,未だ「土木」という閉じた系での活動に終始しているのではないでしょうか.もちろん,公共事業主体の分野では知的財産権という概念が形成されにくいという特性を無視することは出来ません.しかし,昨今の他工学分野を参考にして,他領域との連携(アライアンス)による新分野の創出の可能性について考える時期に来ていると思われます.
こうした中,本年度の土木学会年次講演会の研究討論会で示された,「リニアコライダー」という先端技術における岩盤利用というのは,上記の他領域との連携・融合という課題に対する一つの方向性を与えるものと考えられるでしょう.もちろん,これまで岩盤力学分野が,道路・鉄道に代表されるロジスティック関連施設,および電力・エネルギー開発施設という,マスコミ的に言えば「長大重厚」施設建設を目的として発展してきたという歴史を有しているため,急激な変化はなかなか難しいということは言うまでもなりません.しかし,今こそ他領域との連携・融合という課題にチャレンジすることは,緊急の課題です.
このような背景から,本企画小委員会では,上記のチャレンジに対する情報発信という観点から,土木学会年次講演会研究討論会あるいは岩盤力学に関するシンポジウムにおける研究討論会に関するテーマ提案を行うと共に,上記の目的に即した情報をニューズレターにおいて発信するよう努めたいと考えております.また,こうした動きに対する,会員の皆様方からのご意見の集積についても努力したいと考えております.
時間は掛かるでしょうが,本巻頭言のサブタイトルに示しました「他分野との連携・融合のより新市場の創出」に努める所存ですので,この紙面を借りて,会員の皆様からのご協力をお願いしたいと存じます.
1.岩盤力学委員会研究小委員会テーマの公募
岩盤力学委員会では、新規研究小委員会のテーマを公募します。活動開始時期は2006年5月以降です.下記の要領により、奮って応募願います。テーマ採択後、研究小委員会メンバーも公募することになりますが、公募手続き、および研究小委員会の運営の詳細等につきましては、
本ホームページに掲載している内規、
内規細則をご覧下さい.
記
1.応募要領
小委員会名、研究課題・趣旨、小委員長候補者、委員数、半数程度の委員候補者(委員の公募に応じるであろう候補者)、活動開始時期、応募者または応募組織の連絡先を明記の上、研究小委員会設置申請書をお送り下さい.
2.送付先
岩盤力学委員会企画小委員会幹事
応用地質株式会社 東京本社技術センター 構造物マネジメントグループ 中村一樹
〒331-8688 さいたま市北区土呂町2-61-5
電話: 048-667-9396
e-mail:
nakamura-kazuki@oyonet.oyo.co.jp
3.応募締切
2005年12月9日(金)
4.その他
1)
研究小委員会活動開始までのスケジュール
設置決定 : 2005年12月下旬
メンバーの公募 : 2006年3月下旬
メンバー公募の締切 : 2006年4月下旬
活動開始 : 2006年5月以降
2) 情報伝達方法
設置決定、メンバーの公募等の情報伝達は、学会誌会告の他、学会ホームページ、電子メールで行います.電子メールをご希望の方は、岩盤力学委員会企画小委員会幹事までご連絡下さい.
2.トピックス
今回も岩盤に関するトピックスとして下記の2件を紹介いたします.
本文をpdfファイルでご覧ください。
1)「世界の海底トンネルプロジェクト」 Click!
企画小委員会委員 青木智幸(大成建設(株)技術センター)
(概要)
2005年5月9日〜11日にトルコのイスタンブールで開催された第31回国際トンネル会議に参加した.この内,5月10日(火)午前中にはオープンセッションが開催された.これは,毎回テーマを決めて行われる講演会であるが,今回は世界の「海底トンネルプロジェクト」をテーマに5件の講演があった.
(1) ノルウェーの海底トンネルプロジェクト
(2) NUSANTARA トンネル−ジャワ島−スマトラ島間
(3) ジブラルタル海峡トンネル
(4) ロシアの海底トンネル
(5) Marmarayプロジェクト−ボスポラス海峡横断鉄道
国内では余り知られていない内容を含み読者にも興味深いと考え,ここに紹介する.
(これ以降,詳細は
pdfファイルでご覧ください)
2)「
フィンランドにおける地下岩盤特性調査施設(ONKALO)建設の近況」
Click!
企画小委員会委員 高橋美昭(原子力発電環境整備機構 技術部)
(概要)
2004年夏,フィンランドのオルキルオトで,高レベル放射性廃棄物最終処分のための地下岩盤特性調査施設(ONKALO)の建設が開始された.2005年9月9日時点でアクセス坑道(斜坑;延長5.5km)の総掘進長は約700m
に達した.
今から4年前の2001年5月,フィンランド議会は,原子力発電所で発生する使用済燃料の最終処分場をユーラヨキ自治州のオルキルオト島に設置することを決定した.これによりフィンランドは高レベル放射性廃棄物の最終処分サイトを世界で最初に決定した国となった.実施主体であるPosiva(ポシヴァ)社(電力会社2社の共同出資会社)は,処分計画の次のステージである地下岩盤特性調査施設(ONKALO)の建設を開始し,2012年の処分場建設許可申請,2020年頃の操業許可申請に向けて着実に計画を進めている.
本稿では,サイト選定で諸外国の先頭を行くフィンランドの地層処分計画の概要とPosiva社がオルキルオトで進める地下岩盤特性調査施設(ONKALO)建設の近況を紹介する.
(これ以降,詳細はpdfファイルでご覧ください)
3.書籍等の紹介
企画小委員会委員 京谷孝史(東北大学大学院工学研究科土木工学専攻)
今回は有限要素法の教科書を紹介します.先般,私が参加するNPO法人「非線形CAE協会」の研究会において,代表をされているミシガン大学の菊地昇先生が3冊の教科書を推薦されました.それをここで紹介させていただこうと思います.
有限要素法を中心とする数値解析は,今や工学のあらゆる分野で当たり前のように使われています.そんな時代状況を反映して,種々の目的で数え切れない有限要素法の教科書が発行されています.しかし,何か困ったとき,何かを調べたいとき,あるいは何かについて勉強したいとき,反乱する教科書の中から目的に合う教科書を探すのは容易ではないかも知れません.そんなとき,まずはこれらの本のどれかを手掛かりにされてはいかがでしょうか.
詳細はpdfファイルでご覧下さい
4.会議予定
国内の会議
1)会議名: The 2nd Japan- Korea Joint
Workshop on Radioactive Waste Disposal 2005:
Interaction between NBS and EBS
日 時:2005年10月6,7日
場 所:東京工業大学
2)会議名: 第7回SEGJ国際シンポジウム
日 時:2005年11月24日(木)〜26日(土)
場 所:東北大学
リンク:http://www.segj.org/is7/
海外の会議
1)会議名:20th World Mining
Congress(第20回世界鉱業会議)
日 時:7-11 Nov. 2005
場 所:Teheran(Iran)
リンク:http://www.20wmce2005.com
2)会議名:Hanoi Geoenginnering 2005
日 時:25 Nov. 2005
場 所:Hanoi(Vietnam)
リンク:http://www.sce.ait.ac.th/programs_other/gepg/hanoi05_home.htm
3)会議名:ITA WTC 2006 Congress(第32回ITA総会およびコングレス)
日 時:22-27 Apr. 2006
場 所:Seoul(Korea)
リンク:http://www.ita2006.com
4)会議名:FRAGBLAST-8
日 時:7-11 May 2006
場 所:Santiago(Chile)
リンク:http://www.fragblast.cl/
その他の会議については,岩盤力学委員会ホームページの「会議予定」をご覧下
さい。
5.法人会員のページ
土木学会法人会員による「岩盤工学等の分野で得意とする技術情報等の紹介」を目的とした「法人会員のページ」です.今回は応用地質株式会社からの紹介です.
<応用地質株式会社>
応用地質は,地質学と土木工学の融合した「地質工学の創造」をテーマに,土木工学に有用な地質情報の提供を目指し,地質調査の会社として生まれ,来年で創業50周年を迎えます.
現在では,地盤調査のみならず,環境調査,地域計画,アセスメント,設計,施工管理など様々な技術を有し,総合建設コンサルタントとして活躍しています.
岩盤に関しての関わりは深く,これまで多くの岩盤に関する調査や研究を行ってきました.最近では,岩盤構造物(斜面やトンネルなど)の維持管理,リスクマネジメントや,アセットマネジメント関連の業務も行っています.
これまでは,地盤調査技術で,高度成長期を影で支えてきました.これからは,アセットマネジメント技術やリスクマネジメント技術で,維持管理時代を影で支えてまいります.
詳しくは応用地質株式会社のHPにアクセスして下さい.
【編集後記】
今回より,編集を担当させていただきます中村です.学生時代から岩盤を学び,就職しても数年間はダムや基礎工事の現場で純粋な岩盤の仕事に携わってきました.しかし,その後,純粋な岩盤の仕事が減り,構造物の維持管理関係を担当するようになりました.巻頭言にもあるように,岩盤分野が土木系他分野より厳しい状況であることを実感している一人であります.
そこで,市川前小委員長および大津小委員長の主旨に沿って,岩盤分野の活性化(復活?)を目指して,「できるだけ多種多様な情報を皆様に提供する」ことを目標に,今後もニューズレターをお送りしたいと思います.(中村一樹)
・本ニューズレターに対するご感想・ご意見を募集いたします.下記の編集担当までお気軽に.
・また,トピックスの一般投稿及び研究紹介,岩盤力学に係わる読者からのニュース,読者の声,文献,学位論文の紹介などなど,なんでもお寄せください.
・ニューズレターのバックナンバーはこちらをご覧下さい.
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ニューズレター編集担当:中村 一樹(岩盤力学委員会企画小委員会幹事)
nakamura-kazuki@oyonet.oyo.co.jp
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