委員長挨拶
2023年度から2年間岩盤力学委員会の委員長を務めることとなりました森岡宏之(東電設計(株))と申します。よろしくお願いいたします。
土木学会岩盤力学委員会は、1963年に当時ダム系の技術者を中心に設置されたのが始まりで、既に発足以来60年の歴史を有する土木学会でも由緒ある調査研究委員会の一つになります。これまで当委員会では、時勢に応じた岩盤に関する技術的課題に対して研究小委員会や分科会を立ち上げ、その成果をタイムリーに公開するとともに、指針類などの刊行物の出版に関する活動を行って参りました。
現在は、少子高齢化による人材不足の問題や岩盤構造物の大型プロジェクト自体も減少している中で、岩盤技術者の存在感は必ずしも高まっているとは言えない状況にあります。しかし、現場から岩盤に関する技術的課題が無くなることはありません。そうした中で、最先端の技術を採り入れた研究開発や先人達がこれまで築き上げてこられた「岩盤力学」という学問体系を確実に次世代に伝承していくことが岩盤力学委員会には強く求められていると思います。
本年度も、小委員会につきましては、2つの常設委員会(企画運営、論文)と、6つの研究小委員会(岩盤斜面、岩盤動力学、岩盤関連事例研究、岩盤力学改訂版編集、岩盤DX活用、岩盤連成現象)という組織体制で活動を進めていきたいと考えております。
岩盤力学委員会の主要行事の一つとして「岩盤力学に関するシンポジウム」があります。当シンポジウムも歴史は古く、第1回は岩盤力学委員会発足前の1962年に開催されており、その後当委員会が運営主体を引き継ぎ、基本的に年1回のペースで定例行事として開催されるようになり、既に49回の開催を重ねるに至っております。今年度(2024年1月)開催予定のシンポジウムは、記念すべき50回の記念大会となりますので、様々な企画を立てて盛り上げていきたいと思っております。
また、出版関係につきましては、これまで、原位置岩盤試験の指針や岩盤斜面や地下空洞に関する研究小委員会の活動成果を出版物として刊行して参りました。本年度は当委員会としては久方ぶりとなる2つの大きな出版企画(「土木技術者のための岩盤力学(基礎編)」「なるほど!事例でわかる岩盤力学」)があり、今年度中にそれぞれ刊行となる予定です。「土木技術者のための岩盤力学」につきましては、次世代への技術の伝承を目的とした約50年ぶりの全面改訂であり、「事例でわかる岩盤力学」は若手メンバー中心で企画・執筆した対話式のQA集で、斬新かつ渾身の力作となっておりますので、どちらも晴れて出版となった折にはぜひお手に取ってご覧いただければ幸甚です。
私が岩盤力学委員会の企画運営側にはじめて関わったのは2007年頃で、既に15年以上が経過しました。その間、様々な会合や行事を通じて多くの方々と交流を持つことができました。学会での委員会活動はボランティアによる活動が基本であり、委員の皆様にはご多忙な中、時間を作って活動していただいています。そうした委員会の活動を活気あるものにしていくためには、以下のことが重要と考えています。
- 活動を通じて参加者自身に得られるものがあること
- 負担を感じることがなく、楽しく活動できること
このため、運営に関わる事務的な調整や会議はなるべく簡略化し、参加者の方々自身が活動に大きな意義と楽しみを感じてもらうとともに、次世代を担う若手技術者からは「岩盤力学委員会の活動に参加してみたい」と思っていただけるような活動を目指したいと思っております。その一環として、イブニングセミナーや現場見学会等の一般参加型の行事は今年度も継続して実施していきたいと考えております。
委員会の運営にあたりましては、諸先輩方、委員の方々はじめ、多くの学会員の皆様のお力添えもいただきながら、微力ながら業界の活性化に貢献できればと思っておりますので、ご支援、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
2023年7月
土木学会 岩盤力学委員会
委員長 森岡 宏之

