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 土木学会 岩盤力学委員会 ニュースレター [No.10 2006.7.25]        印刷用pdf
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[巻頭言]

考える

 

企画小委員会委員 京谷孝史(東北大学)

 

 中高生向けの本を立ち読みした.「考える」ということを考えてみようという哲学の先生が書いた本だった.

 我々が普通に思っている論理的に考える過程は,推論のための法則に従っているだけで真の「考える」に入らない.何となれば,論理的に考えればよいことがわかっているので問題は既に解決されたも同然だから.「考えている」というのは,どうして良いかわからない状態でただ問題意識だけが頭の中でジンジンしている緊張状態をいい,「何日もずっと考え続ける」というのは,そういう緊張状態が頭の隅で継続していることを言う.そのような人は,ニュートンが落ちるリンゴを見て万有引力を発見したように,何かの拍子に何気ないことの中に解決の糸口を見つける.

 そのように言われてみて,自分はどうであろうかと振り返ってみた.問題意識は持っているとは思う.しかし,何気ないことの中に解決のヒントを見いだすほどには強い緊張を保っていないような気もする.何とも心許ない限り.

 大上段に振りかぶって,岩盤力学はと見れば,色んな「何とかしたい,せねばならない」問題は常に現実としてそこにある.しかし,そのために緊張感を持って「考えて」いるだろうか.現実の問題は良く理解できなくとも,ボンヤリと正解を含んだ答えを準備することはできる.そのようにして突っ走ってしまったことも多いのではないか.

 若い人が寄って来ないといったような,この分野にボンヤリと漂う昨今の閉塞感は,話題になるようなプロジェクトの減少だけが原因ではないような気もする.「考える」ことの楽しさが明確に表に出ていないことも,ひょっとしたら目に見えないひとつの原因なのではないか.哲学の先生がいう「考える」ことが岩盤力学を元気にするように思える. 

 


.トピックス 

 今回は最新の学会参加報告を含め、岩盤に関するトピックスとして下記の3件を紹介いたします.

本文をpdfファイルでご覧ください.

 

1)スイスにおける地層処分の実現可能性実証プロジェクト Click!

企画小委員会委員 高橋美昭(原子力発電環境整備機構)

(概要)
  わが国の原子力政策の方向性を示す「原子力政策大綱」が昨年11月に閣議決定され,この中で「核燃料サイクル路線」の堅持が再確認されました.また高レベル放射性廃棄物の処分について原子力発電環境整備機構(NUMO)は3段階のサイト選定を進めています.

 一方,スイスにおいては, 2002年にNagra(スイス放射性廃棄物管理協同組合)が堆積岩を対象とした「地層処分の実現可能性実証プロジェクト」(Entsorgungsnachweis project)を報告し,2006年6月28日,スイス連邦議会はこの承認を発表しました.連邦議会によるこの決定は,スイス国内における高レベル放射性廃棄物,使用済燃料および長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分の実現可能性を原則的に確認するものです.

 筆者は,昨年11月から今年3月までスイスNagraに長期出張する機会を得ました.その間に得られた情報と今回のスイスでの重要なマイルストーン到達のニュースも含め,スイスにおける高レベル放射性廃棄物等の処分場候補岩種選定の経緯と同プロジェクトの概要を紹介します.詳細については以下をご覧ください.
これ以降,詳細は pdfファイルでご覧ください
 

 

2)自然科学の発展に寄与する地下空間

  DUSEL(Deep Underground Science and Engineering Laboratory)の紹介  Click!

企画小委員会委員 岸田潔(京都大学)

(概要)
 第40回US Rock Mechanics Symposium(2005年6月,アンカレッジ)でのパネルディスカッションのテーマの一つが,DUSELでした.合衆国岩盤力学学会(ARMA)のWebサイトのTopページにもDUSELのリンクがあり,既に多くの方はご存知とは思いますが,簡単にDUSELの紹介を行います.
これ以降,詳細はpdfファイルでご覧ください
 

 

3)Golden Rocks 2006参加報告  Click!

企画小委員会委員 岸田潔(京都大学)

(概要)
 第41回のUS Rock Mechanics Symposiumが,有名なビールメーカーひとつ,クアーズの本社のあるコロラド州ゴールデンで2006年6月17日から21日にかけて開催されました.本シンポジウムは3日ですが,前2日にワークショップやショートコースが実施され,前日にレセプションと基調講演1件が行われています.今回は,合衆国岩盤力学学会の創立50周年記念と言うことで,合衆国岩盤力学の発展に大きく寄与したコロラド鉱山大学での開催でした.シンポジウムの名称は,開催地にちなみGolden Rocks 2006で,副題は”50 Years of Rock Mechanics Landmarks and Future Challenges” でした.
これ以降,詳細はpdfファイルでご覧ください
 

 

2.書籍等の紹介

服部弘通(大成建設(株)土木技術部トンネル技術室)


 
今回は,応用地質分野に関係する「付加体地質」に関する新刊書籍を紹介します.

 付加体地質では,主としてトンネル工事において,しばしば「当初の地質縦断図が当たらない」とか,具体的には「事前調査での弾性波速度が速くても,変形が大きく支保パターンや補助工法の設計変更が多い」などの問題があることが分かってきました.

 このような日本列島の地質の特徴について,地質学の分野では1970年代に登場したプレートテクトニクス理論を通じて,日本各地で様々な地質現象がプレート理論によってモデル化され,その生成メカニズムに対する理解が深まってきました.そして1980年代後半には地質学の分野では『日本列島が多くの「付加体」から構成されている』ということが,なかば常識となってきました.

 プレートテクトニクスとは,地球の表面が「プレート」と呼ばれる何枚かの岩盤でおおわれ,それぞれのプレートは年間数cm〜十数cmの速さで移動しているという理論です.そして,日本列島のように大陸の縁辺に位置する場所の前縁には海溝が形成され,海洋底のプレート(海洋プレート)が陸側のプレートの下に沈みこんでいて,「沈み込み帯」と呼ばれています.沈み込む海洋プレートの表面に載っているハワイのような火山島やさんご礁(石灰岩),海底上にたまったチャートなどは,海洋プレートに載ってベルトコンベアのように海溝まで運ばれてきて,陸側から供給され海溝にたまった泥や砂などの堆積物(海溝充填堆積物)と混ざり合って,陸側のプレートに押し付けられます.このため陸側プレートの海溝側の部分では,海洋プレートからはぎ取られた岩石が次々と付け加わって海側に成長していきます.このようにしてできた地質を「付加体」と呼んでいます.日本列島の地質の大半は,アジア大陸の東の縁に成長した付加体から形成されていると考えられています.(

 このような日本列島の「付加体地質」に関する知見を踏まえて,土木地質,中でもトンネル施工に関して取りまとめたのが,今回ご紹介する「付加体地質とトンネル施工」という成果報告書です.この成果報告書は,任意団体である「ジェオフロンテ研究会」の「付加体地質WG」というワーキンググループによって2005年11月に刊行されました.

 本書の構成は,大きく分けて4章から構成されています.最初が「日本列島のおよび海外の付加体」,として日本列島の付加体の詳細な分布図の説明から始まり,次いで本論とも言うべき「トンネル工事と付加体」として9トンネルの施工事例をあげ,その地質の特徴および施工状況を述べています.この中では,施工前の想定地質図と施工中および施工後の地質縦断図の対比なども行われており,興味深い内容となっています.加えて,普段はあまり表には出てこない設計時(施工前)の支保パターンと施工実績の支保パターンの対比など興味深い内容が記されています.次いで「付加体における地質調査について」という章で,付加体地質における調査方法の提案や注意点が述べられ,最後に教科書的な「付加体とは」という章構成がとられています.

 このように,通常の教科書的な書籍には載っていないような現場における計測データも含まれ,また,実際の施工状況が記載されているという報告書であり,岩盤工学の分野では貴重な情報を提供する書籍と思われることから,今回紹介いたしました.

 なお,この「付加体地質とトンネル施工」は一般書店では入手不可で,ジェオフロンテ研究会(http://www.geo-fronte.com/j_index.htm) で販売しております.
 

 

3.会議予定

 

国内の会議

 1)会議名:粒状地盤材料の力学と工学に関する国際シンポジウム(IS-Yamaguchi06)

   日 時:2006年9月12日(火)〜14日(木)

   場 所:山口大学工学部

   リンク: http://web.cc.yamaguchi-u.ac.jp/`isy06/index.html

 

 2)会議名:第61回土木学会平成18年度年次学術講演会

   日 時:2006年9月20日(水)〜22日(金)

   場 所:立命館大学びわこ・くさつキャンパス

   リンク: http://www.jsce.or.jp/committee/zenkoku/

 

 3)会議名:The 8th SEGJ International Symposium

   日 時:2006年11月26日(日)〜28日(火)

   場 所:京都大学百周年時計台記念館

   リンク: http://www.segj.org/is8/index.html

 

 4)会議名:第36回岩盤力学に関するシンポジウム

   日 時:2007年1月11日(木)〜12日(金)

   場 所:土木学会

   リンク: http://www.jsce.or.jp/committee/rm/ronbun/simpo/top_001.htm

 

海外の会議

  1)会議名:5th International Conference of the International Geoscience Education

        Organization

   日 時:22-25 September, 2006

   場 所:Bayreuth, Bavaria, Germany

    リンク:

 

 2)会議名:International Symposium on In-Situ Rock Stress

   日 時:19-25 September, 2006

   場 所:Trondheim, Norway

   リンク: http://www.rockstress.org/

 

 3)会議名:4th ARMS (Asian Rock Mechanics Symposium), the 2006 ISRM-Sponsored

                International Symposium

   日 時:8-10 November, 2006

   場 所:Singapore

   リンク: http://www.arms2006.org/

 

 その他の会議については,岩盤力学委員会ホームページの「会議予定」をご覧下 さい.

 

.法人会員のページ 

  土木学会法人会員による「岩盤工学等の分野で得意とする技術情報等の紹介」を目的とした「法人会員のページ」です.今回は鹿島建設株式会社からの紹介です.

 

<鹿島建設株式会社 KAJIMA CORPORATION http//www.kajima.co.jp

 

  鹿島建設では,岩盤分野においてトンネルや地下空洞における調査・解析技術,施工支援技術の開発を進めています.トンネル切羽前方の地質予測技術として削孔検層システムの開発を15年前から始め,第二東名神高速道路工事などに用いられたTBMでは,削孔検層から得られる切羽前方のデータとTBMの機械データを組み合わせて最適な掘進を行なうためのTBMナビゲータを開発し多くの現場に適用しています.

 さらに広範囲の探査技術として反射法弾性波探査法を開発して切羽前方の断層・破砕帯などの位置を把握し,分かりやすい三次元画像として提供しています.

 この他,支保技術として先受け工法や先受け用注入材料の開発,既存トンネルのリニューアル関連技術としてトンネルの覆工巻厚測定技術やトンネル覆工の補修材料の開発を行い,後者は新潟県中越地震後のトンネル補修に用いられました.

 地下大空洞に関しては亀裂性岩盤に対する力学・水理解析技術,情報化設計施工技術の中のAE(微小破壊音)測定による地下空洞周辺の緩み評価の事例があります.

 また,放射性廃棄物地層処分関連技術の展開として,地質調査結果に含まれる不確実さを考慮できる意思決定・評価技術の開発,坑道周辺のゆるみ域の透水性評価技術,採水と間隙水圧測定が同時に可能な地下水の簡易・高精度モニタリング技術の適用などにも取り組んでいます.

 このように,当社では常に施工現場における品質確保を念頭においた岩盤分野の技術課題解決のための開発進めています.



【編集後記】
  最近,集中豪雨による土砂災害が多く報じられています.テレビに映りはしませんが,その現場で影響範囲の想定や,減災,対策の方法を考えている岩盤技術者がいるのだと思うと頼もしい限りであります.

 しかし,このように災害現場で活躍する,医者でいう救命救急ドクターは減ってきております.仕様書や示方書に従いどんなに高度な調査計画や設計ができることも必要でありますが,このような切羽詰った状況で適切な判断を行う技術者も必要であることは言うまでもありません.

 私も岩盤技術者の一人として,そうなりたいと思い,テレビで災害現場を見ながら,「私ならこんな指示を出すのに」と妻に向かって話し,イメージトレーニングを繰り返す今日この頃です. もちろん妻からは何の返答もありません. (中村一樹)

 

・本ニューズレターに対するご感想・ご意見を募集いたします.下記の編集担当までお気軽に.

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ニューズレター編集担当:中村 一樹(岩盤力学委員会企画小委員会幹事)
nakamura-kazuki@oyonet.oyo.co.jp
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